2013 AUTOBACS SUPER GT ROUND8

開催地:ツインリンクもてぎ/4.801km

112日(予選)天候:曇り

コースコンディション:ドライ 観客数:14,500

113日(決勝)天候:曇り

コースコンディション:ドライ 観客数:30,000

 

相次いだGT500車両との接触により、完走を果たすに留まった最終戦

8戦で争われるスーパーGTも、早いものでもう最終戦。4年連続で閉幕の舞台となったツインリンクもてぎは、STOP&GOを繰り返すレイアウトが最大の特徴で、そのためブレーキを酷使することで知られている。また、普段より50km短い250kmレースであり、また全車がウエイトハンデ無しとなるため、一切の言い訳が許されない戦いでもあるのだ。

新田守男選手と嵯峨宏紀選手の駆る「Panasonic apr PRIUS GT」は、第2戦でハイブリッド車でのシリーズ初優勝を飾ったものの、その後は不運な展開が続き、すでにチャンピオン獲得の権利を失っている。目下、ランキングは8位ながら、今季最後の戦いでどこまでランキングを上げられるか。そして、気持ち良くシリーズを終えるためにも、もてぎでの活躍が期待された。

公式練習 112日(土)9:00
このレースウィークの天気予報は概ね良好。少なくても雨に見舞われる心配はなさそうだ。ドライコンディションがキープされれば、それだけセットアップも進む。ましてウエイトハンデに苦しめられずに済むレースとあって、本領を発揮するには絶好の機会と言えた。

土曜日の午前に行われた公式練習では、「Panasonic apr PRIUS GT」を新田選手が最初にドライブ。計測開始と同時にコースインしてチェックを行い、そのまま走り続けずピットに戻って最初のセットアップが行われることに。そして約10分経過したところで再びコースインし、本格的な走行を開始する。だが、151秒台に入れたところで赤旗が。約6分の中断の間に嵯峨選手と交代し、ロングランをかけるも、40分経過から間もなく二度目の赤旗が出されてしまう。

再開後は2周のみ嵯峨選手が走行し、その後はチェッカーまで新田選手が走行した。5周を走行するも、やはり51秒台を記すのがやっとという状況とあって、一旦ピットに戻してセットを変更。今度は7周連続の走行となるが、やはり51秒台を切ることが許されない。GT300単独のセッション直前にピットに戻し、ラスト10分に新田選手は渾身の走りを見せたものの、状況は打破されず、本戦に向けて一抹の不安を残すこととなった。ベストタイムは新田選手が最初に走ったスティントの51264。トップとは2秒遅れだった。

公式予選 Q1 14:0014:15
公式練習後のサポートレースにもアクシデントは一切なく、予選はスケジュール通り14時から開始された。気温16度、路面温度19度と温度としては想定の範疇である。今回もQ1に挑んだのは新田選手。先頭を切って「Panasonic apr PRIUS GT」をコースに送り込む。クリアラップがしっかり取れることもあって、いきなりの好タイムが期待された。ところが、1周して本格的なアタックはこれから……というところで赤旗が。ヘアピンにストップした車両があったためだ。一旦ピットに戻って仕切り直された後、2周をじっくりとタイヤのウォームアップに充てる。そして新田選手は50063をマークし、Q1突破まであと一歩に。だが、最後のアタックに期待がかかったものの、50117とタイムダウン。あとコンマ2秒及ばず、14番手で予選を終了することとなった。

新田守男選手

「予選ではタイヤにクルマをうまく合わせ込むことができませんでした。公式練習に比べると、セット的にはいい方向に行っていたと思うのですが、路面のコンディションが変わったのか全体的にグリップ感が低くなってしまって……。もともとアペックスのあたりの旋回性が悪かったから、そこを修正したつもりだったんですが、グリップ感が少なくなった分、いい方向には進みませんでした。もうちょっとでQ2にも行けたし、公式練習に比べればレースに向けてのフィーリングも悪くはないので、そんなに悲観してはいないんですけど、明日の朝のフリー走行でまた修正を入れて。決勝レースでは何とか表彰台まで上がれるよう、最後の最後まで悪あがきして、いい状態にしたいと思います。」

嵯峨宏紀選手

「公式練習の感触からすると、もう少し苦戦するのかなと思ったんですが、実際には14番手ということで、思っていたよりは善処したのかな、という印象で。もともとプリウスのハイブリッドと、もてぎのコースの相性が良くない部分もあって、しかも昨年のレースは雨でデータがあまり取れなかったのが影響しているのかもしれません。今年はしっかりドライで走れると思うので、来年以降のシリーズを考えると、もてぎを苦手だといつまでも言ってはいられないので、ちゃんとデータを取って今後に繋げられるよう、しっかりと決勝を走っていこうと思っています。」

金曽裕人監督

「後一歩のところでQ2進出でしたが、車輌重量が他車に比べて重いPRIUSはもともとSTOPGOのこのサーキットは苦手であり それを考えると14番手というのは悪くは無い。ハイブリッドも順調に仕上がっており、マシントラブルも無くTEAMの流れも良い。明日の決勝は、作戦含め、悔い無きレースを行い皆様の期待に応えられるよう全力で挑みますので、ご声援宜しくお願いいたします。」

決勝日・フリー走行 113日(日)8:50
日曜日の早朝850分から30分に渡って行われるフリー走行では、「Panasonic apr PRIUS GT」のステアリングを嵯峨選手が先に握ることになった。ひとつ心配されたのは、開始からしばらくはコースを霧が覆っていたこと。しかしながら、これは時間の経過とともに解消。終了後に行われたサーキットサファリの段階では、完全に視界良好になっていた。

嵯峨選手は8周連続して走行し、7周目には51900をマークして、新田選手へとバトンタッチ。周回を重ねるごと新田選手もタイムを上げて、チェッカーが振られた周には52713をマークする。その後のサーキットサファリでは再び嵯峨選手がドライブし、しっかりマイレッジを稼ぐことに。公式練習の不安もほぼぬぐい去られることとなった。

決勝レース(53周)13:30
今回のスタート担当は、第3戦のセパン戦以来となる嵯峨選手。スタート進行と同時に行われる8分間のウォームアップを、「Panasonic apr PRIUS GT」は1周だけチェックのため走行。そして、グリッドへと送り出されていった。

久々のローリングスタートもそつなくこなした嵯峨選手は、オープニングラップをポジションキープでクリア。そして3周目には一台をパスして13番手に上がる。その段階で1秒半ほどあった前との差を徐々に詰めていき、やがて1秒を切るまでとした15周目のV字コーナーでアクシデントが発生。GT500車両との交錯によってスピンを喫してしまったのだ。幸いマシンにダメージはなく、すぐに復帰はなったものの、最下位にまで後退。そして、その周に予定外であったがスピンによるタイヤダメージを考えドライバーとタイヤ交換を行うことになる。

その後、ピット作業に手間取ったチームもあったことから最下位からは脱出したものの、全車がドライバー交代を終えた時点での「Panasonic apr PRIUS GT」は19番手。しかし、新田選手も諦めることなくプッシュし続け、39周目に一台、46周目にはもう一台をかわして17番手に浮上。貴重なデータを蓄え続けていた。

そして、ゴールまであとわずかというところで、またしてもGT500車両に接触され、49周目の3コーナーでストップするアクシデントが……。何とか復帰はできたものの、20位での完走を果たすに留まった。その結果、ノーポイントではあったものの、何とかランキングの8位は死守された。

新田守男選手

「今回は後半を担当して、スタートタイヤとは異なるハードタイヤで走ったんですが、最初のうちはタイヤの温まりが良くなくて、思うようなペースで走れませんでした。その後しばらくするとコンスタントに走れるようになったんですけどね。自分がどのポジションを走っているのか最後の方まで分からず、状況がつかめなかったというのもあるんですが、そもそもタイヤをもっと違う方法でチョイスするべきでした。シリーズを締めくくるという意味では納得のいかないレースでしたけど、本当に多くの皆さんに支えてもらって1年間、無事に終えることができました。この後まだJAFグランプリが残されていますので、そこで皆様の期待に応えられるよう頑張ります。ここまで応援してくれたすべての方々にお礼を言いたいと思います。ありがとうございました!」

嵯峨宏紀選手

「今回、久しぶりにスタートを担当したんですが、ペース的には前を追い抜くにはいたらず、ずっと団子で着いていくのがやっとという状態でした。予定近くの交代する周回まで行ったんですが、残念なことに500クラスの車輌と交錯してV字コーナーでスピンしてしまって……。復帰はすぐできたんですが、最後尾まで落ちてしまいました。正直なところ今のマシンパッケージはエンジンもハイブリッドも速さが足りなくて、うまくいってもトップ10に行けたかどうかのパフォーマンスしかなかったのは、ちょっと残念でした。シリーズはこれで終わってしまいましたが、まだ最後にJAFグランプリを残していますので、プリウスと相性のいい富士スピードウェイで有終の美を飾って、来年のレースに繋げられれば良いな、と思っています。」

金曽裕人監督

「一年を通し、同じJAF-GT車両と比較し我々の車輌はレーシングNAエンジンであり、常に高回転を維持していないと低速トルクが薄く非常に不利な状況でした。JAF-GTTURBOエンジンが有利なレギュレーションの中でも、精一杯チャレンジを続け2度の表彰台、ハイブリッド車によるシリーズ戦初優勝と歴史を刻んだ一年が出来たことを、ご支援くださる企業様、応援くださるファンの皆様に心から感謝しております。昨年から市販車ハイブリッドシステムでレースを実験の場としてSTARTしたこのプロジェクトはホップ、ステップと着実に進歩しております。その歩みから、来年はジャンプの年にしたいと思いますので、2014年シーズンも変わらぬご声援のほど宜しくお願いいたします。」