No.31 TOYOTA PRIUS apr GT

    2017 AUTOBACS SUPER GT ROUND 1  

Okayama International Circuit

OKAYAMA GT 300km RACE

開催地:岡山国際サーキット(岡山県) / 3.7031km

4月8日(予選)

天候:曇り / コースコンディション:ドライ / 観客数:9,700人

 

4月9日(決勝)

天候:晴れ / コースコンディション:ドライ / 観客数:17,300人

 


久保凛太郎が嵯峨宏紀の新パートナーに。

苦手の岡山ながら完走し、しっかりポイントを稼ぐ!

 

全 8 戦で争われるスーパーGT シリーズの開幕戦、「OKAYAMA GT 300km RACE」が岡山国際サーキットで開催された。今年も apr は 2 台のトヨタ プリウス ZVW51 を走らせ、「31 TOYOTA PRIUS apr GT」を嵯峨宏紀選手と久保凛太郎選手に託すこととなった。

 

嵯峨選手の新たなパートナーとなる久保選手は、昨年までメルセデス SLS AMG GT3 で GT300 を戦っていたドライバーで、過去にはポルシェカレラカップジャパン、全日本 F3 選手権の F3-N クラス、そしてスーパーFJ な どの経験を持つ。そのうちフォーミュラ時代にはカテゴリーこそ異なるものの、同じチームに所属したことがあり、コミュニケーションに関してまったく問題はない。

さて、2年目となる現在のプリウスであるが、このオフにリヤフェンダーやサイドのエアダクトといったエアロパーツ、エンジンの冷却ボックスと吸気ボックスの改良を行うとともに、ブレーキペダルやステアリング形状を改めて、よりスムーズにドライビングできるようにしている。

 

開幕戦の舞台となる岡山国際サーキットは、中低速コーナーの多いテクニカルコースで、従来はプリウスのような JAF-GT よりも FIA-GT3 に得意なコースとされてきた。ただ、このオフの間に全面改修を行なっており、 路面状態は昨年とは比較にならないほど向上している。その変化が、戦況にも大きな影響を及ぼすのではないだろうか。

 

 

公式練習 4月8日(土)9:00〜10:35

今年もスーパーGT の公式スケジュール一発目は、土曜日早朝の公式練習となった。すでに公式テストなどは行われているが、同一条件で走る最初の機会となる。しかし、雨はすでにやんでいるものの、スタート時の路面は濡れたまま。未明に降った雨の影響だ。徐々に乾いていくのは間違いないものの、しばらくはウェットタイヤを装着しての走行となった。

 

最初に「31 TOYOTA PRIUS apr GT」に乗り込んだのは嵯峨選手。計測開始と同時に、まずはアウト〜インを行ってチェックした後、いよいよ本格的な走行開始となる。予想したとおり時間の経過とともにタイムは縮まっていき、15 分も経つと嵯峨選手は 1 分 37 秒台を記録するまでに。その後は久保選手にもウェットコンディションを2周走らせる。しばしセットアップを進めるとともに、コンディ ションの回復を待つ間に赤旗中断が。再開後はコンディションの向上が確認できたこともあり、嵯峨選手から再び周回を重ねられることとなる。

 

ドライタイヤを装着した嵯峨選手はロングを重ねつつも、やがて 1 分 27 秒 338 をマークするまで となり、交代してセッション終了まで走り続けた久保選手も、1 分 27 秒 944 を記録した。

 

 

公式予選 Q1 4月8日(日) 14:45〜15:00

公式練習とは異なり、直前に小雨が舞ったものの、予選は最初からドライコンディションに。しかし、上空は灰色の雲で覆われていることもあって、いつまた雨が降り出してもおかしくなかった。そのため、アタックは早い段階で行われることとなった。

 

「31 TOYOTA PRIUS apr GT」の Q1 担当は嵯峨選手。入念にタイヤに熱を込め、アタックを開始した直後に、1コーナーでのコースアウト車両があって赤旗が出されてしまったからたまらない。

 

約 8 分間の中断を経て、残り 10 分間の計測でセッションは再開される。嵯峨選手は 1 分 26 秒 768 をマーク した後、クールダウンを挟んでサイドアタックをかけるも、26 秒 631 にまでの伸ばすに甘んじた。9 番手とあ って Q1 突破は難なく果たせたものの、トップとは 1 秒の差もあり、やや不完全燃焼感の残るセッションとなってしまった。

 

 

公式予選Q2 4月8日(土)15:30〜15:42

Q1 の中断もあって、続いて行われた Q2 は 10 分遅れでのスタートとなった。もちろん、担当するのは久保選 手で、自身にとって初めての Q2 となった。計測開始と同時に「31 TOYOTA PRIUS apr GT」とともに出ていった久保選手ながら、タイヤのピークをうまく生かせなかった感は否めず。アウトラップにもう1周をウォームアップに充て、まず 1 分 29 秒台に入れた後、大幅なタイムアップが期待されるも、次の周は 27 秒 237 に。さらにコースを攻め込んで 26 秒 688 にまで入れはした。それから間もなく赤旗中断が......。

 

これ以上のタイムアップは不可能と判断し、計測は残り 5 分で再開されるも、「31 TOYOTA PRIUS apr GT」は ピットを離れず。幸い、逆転を許すことはなかったものの、9 番手という結果に止まることとなった。

 

 

嵯峨宏紀選手

「今回は僕が Q1担当だったので、通過するのが最大の目的で、それは達成できたんですが、ちょっと赤旗のタイミングが僕らにとっては最悪で。赤旗が出た周がタイヤのピークだったこともあり、しょうがないかなという気がしています。

これからチームとデータを照らし合わせて、決勝に向けた準備をしっかりしなくては......。確実にポイントを獲れるよう心掛けます」

 


久保凛太郎選手

「僕にとって初めての Q2 ということもあって、ちょっと足りないところばかりでした。赤旗が出ても出なくても、そんなにタイムは変わらない感じでしたけど、ピーク時の上げ方を、もうちょっと勉強しておきたかったですね。いろいろ言い訳しても仕方ないので、この悔しさを次に活かします」

 


金曽裕人監督

「タイヤのピークグリップ時にフルアタックができなかった凛太郎はまだ経験不足。もともとここは FIA—GT3 勢が速いサーキット。パーフェクトなアタックをしてもポール獲れるような状況ではないが、満足か不満足かというと不満足。

ドライバーは、もっといろんなことを経験しなくてはならないし、凛太郎にとって今後に繋がったと思っています。決勝は確実にポイントを獲れればオッケーです。両ドライバーともに、そのパフォーマンスはちゃんとありますからご期待ください」

 


 

 

 

決勝レース(81周) 4月9日(日)14:34〜

今までは日曜日の早朝にフリー走行が行われていたが、今年からプロモーションを充実させるためと いう理由により、廃止となっていた。代わりにスタート進行の開始と同時に行われていた、ウォームアップが 8 分間から 20 分間に延長されることに。このレースウィークに入って初めて見られた青空 の下、完全なドライコンディションとなっていたものの、やらねばならないことも多く、慌ただしいこと、この上なし。

 

そのウォームアップはスタートを担当することとなった久保選手から走り始め、4 周の計測ラップ で 1 分 27 秒 749 をベストタイムとする。ちょうど折り返しのあたりから嵯峨選手もドライブし、やはり 4 周の計測の中、徐々にタイムを縮めていって最後に 27 秒 775 をマークした。

 

そして、いくつかのセレモニーを経て、いよいよ決勝レースがスタートする。しかし、それはまさ に波乱の幕開けだった。GT500 のホンダ勢がフォーメイションラップで次々と止まり、赤旗でスタートディレイとなったばかりか、1周減算の 81 周での SC スタートとなったからだ。

 

また、5周目には 激しいクラッシュがあり、5 周にわたる SC ランも......。

その直前に1台をかわし、さらに次の周には先行車両の緊急ピットインもあって「31 TOYOTA PRIUS apr GT」は早々に 7 番手に浮上。SC ラン明けには「GAINER TANAX AMG」の背後につけて逆転の機会を待つも、ストレートスピードの違いにより、なかなか攻略を許されず。それでも一瞬の隙を突いて 25 周 目の W ヘアピン出口で、ようやく逆転に成功。

 

6 番手に浮上した後は、早々にドライバー交代を行う ライバルを横目に見ながら、久保選手は 33 周目まで走り続けて嵯峨選手にステアリングを託す。

だが、ドライバー交代と併せ、タイヤを 4 本すべて交換したのに対し、ライバルの多くは無交換、 あるいは2本だけの交換に留めているではないか! そこで抱えてしまったロスは予想以上に大きく、全車がピットインを終わらせてみると、10 番手に後退していた。しかも、その直後にまた SC ランが。 ぎゅっと詰まった間隔に対し、リスタートは完璧に決めて逆転を許さなかった嵯峨選手ながら、この 頃もうブレーキが悲鳴を上げるように......。もはや無理もできない状態であったことから、ピットは ポジションキープの指示を出す。

 

ゴールまで淡々と走り続け、「31 TOYOTA PRIUS apr GT」は 10 位で フィニッシュ。それでも貴重な1ポイントを獲得することとなった。

 

 

嵯峨宏紀選手

「僕らのできるベストな選択というか、それしかやりようがなかったというか......。まわりはタイヤ 無交換とか 2 本交換がスタンダードになってきて、同じ選択を僕らはデータ不足、経験不足な部分も あって、やれなかったというのが一番の敗因です。昨年の状態より BOP でリストリクターも絞られ、重量も積まされたことから昨年よりも確実に戦闘力不足な状況。まだ開幕したばかりなので今年を諦めるつもりはないんですが、パフォーマンス不足にシリアスにならざるを得ない週末でした」

 


久保凛太郎選手

「ギリギリまで僕がスタートする予定ではなかったんですが、作戦の幅的にも僕がスタートした方が 良かったり、今までスタートしかしたことがなかったりして、正直言って後乗りに対する不安もあっ たんです。そのあたりを配慮してもらえることになりました。あのあたりからレースを始めたことはなく緊張もありましたが、意外に序盤のうちに順位を上げられました。GAINER の AMG に長い間引っかかってしまい、向こうはブレーキも奥でストレートも速かったので、なかなか仕掛けられず、しばら く我慢していたんですが、一瞬の隙を突いてグイっといかせてもらいました。もう少し早く AMG を仕留められたら、もうちょっとタイヤを温存できたら、なおかつ無交換で行けますって判断までできれば良かったんでしょうが、そこまでできなかったから今回の自己採点は、80 点です」

 


金曽裕人監督

「今や主流になりつつある、タイヤを替えないとか 2 本交換だとかいうところに対して、僕らはあまりにもデータが少なかったので、安パイの作戦で行き過ぎました。安パイの作戦で行って、凛太郎に いろんなこと勉強させようと思いましたが、『そこそこ使えるじゃないか、こいつ』というのが分かって。なのに結局、ピット側で僕らが足を引っ張ったというか、4 本交換のロスは凛太郎の奮闘に応えられませんでした。そのあと宏紀に代わって、抜きたいからブレーキ方向で行くんですが、そのう ちブレーキも音を上げて、という悪循環になってしまいました。だから、確実にポイント獲る作戦に切り替えざるを得なくて......。今後のタイヤ開発も含めて、ライバルとちょっとキャラが違うので、そこをどう考えるかっていうのが必要になってきました。次の富士で巻き返したいですね」