JAF Grand Prix FUJI SPRINT CUP 2013

開催地:富士スピードウェイ/4.563km

11月23日(予選)天候:晴れ

コースコンディション:ドライ 観客数:23,000人

11月24日(決勝)天候:晴れ

コースコンディション:ドライ  観客数:39,000人

 

スタート直後の波乱で涙を飲んだスシュコ選手、ベストの走りで岩崎選手が仇を討つ!

シリーズこそすでに終了したスーパーGTだが、本当の意味でシーズンの幕を閉じる一戦がまだ残されていた。それが富士スピードウェイを舞台とする「JAF Grand Prix FUJI SPRINT CUP」だ。スーパーフォーミュラと国内最高峰レース同士の併催となるイベントは、ともに100km、22周の文字どおりスプリントレースで争われることを最大の特徴とする。当然、スーパーGTもレース中のピット義務はなく、スタートからゴールまでドライバーひとりでの全開走行が求められる。このレースに「IWASAKI OGT Racing GT-R」で挑むのは、シリーズ同様、岩崎祐貴選手とイゴール・スシュコ選手。国内屈指の高速コースで、相性抜群のマシンとともに今シーズンの集大成となる走りが大いに期待された。

第1レース予選 11月23日 8:05〜8:25

JAF Grand Prixでは搬入と同じ金曜日に設けられていたフリー走行が行われず、今回は土曜日の早朝に、いきなり予選が行われることとなった。いわばぶっつけ本番状態の中、青空に富士山がくっきりと浮かぶ好天には恵まれていたものの、コンディションとしては気温8度、路面温度は9度と微妙な状況。エンジンは軽快に回るであろうが、タイヤにはウォームアップの時間を普段より多く求めるのは必至だったからだ。

第1レースに挑むのはスシュコ選手とあって、最初の予選に何のインフォメーションなく挑むことに。今年も富士でシリーズは2戦行われているとはいえ、先に述べたとおり気候的なコンディションがあまりにも異なるため、データが果たしてどこまで通用するか。「IWASAKI OGT Racing GT-R」にとっては、これが初めての寒い時期の走行だったからだ。しかも、計測時間はわずか20分と短く、セッティングに大幅な変更の余地はないも同然だった。

大きなトラブルに見舞われることがない限り、20分フルに走り続けることとしていたスシュコ選手は、予選の開始と同時にコースイン。案の定、タイヤのウォームアップには普段より1周多く要し、まずは最初のターゲットとする1分39秒台に入れたのは3周目だった。そこから細かく刻み続けていくも、次のターゲットとした38秒台にはなかなか入れられなかったこともあり、いったんクールダウンを行うことに。ライバルの多くが終了間際にベストタイムを更新したように、もう一度最後に攻めていくというスシュコ選手の判断は正解だったものの、前半の連続アタックが裏目に出て、タイヤはすでにピークを過ぎていた……。その為、ラスト2周で39秒588を記したものの、17番手という結果に留まってしまった。

第2レース予選 8:50〜9:10

スシュコ選手からのインフォメーションもあり、続いての予選にはアタックは後半で、と決めていた岩崎選手。さらに「IWASAKI OGT Racing GT-R」にはエアロを中心とした微調整が行われ、まさに万全の構えでコースに乗り込むことになった。気温、路面温度とも2度ずつ上がり、幾分コンディションは向上していたが、予定どおり岩崎選手は慎重に走行する。1周のチェックを行い、さらに4周をウォームアップとポジショニングに充てたほど。

その甲斐あって、岩崎選手はまず39秒985をマークすると、次の周には38秒937、さらに38秒693と順調にタイムを刻み続けていく。残念ながら、チェッカーが振られた周にはタイムアップはならなかったものの、13番手という結果を得ることとなった。

イゴール・スシュコ選手

「予選はうまくまとまりませんでした。路面のコンディションが一番良かったのは、いちばん最後、20分のうちの本当に最後だったんですが、僕はニュータイヤで最初から攻めていったんです。ところが、あっという間にタイヤのプレッシャーがターゲットを超えてしまって……。それで思ったようなタイムを出せず、結果的にタイヤが中古になっている時のタイムの方が良かったんです。何回もタイヤを冷やしてアタックした方が良かったと思うので、そういうロスがすごく大きかったですね。決勝はスプリントとはいえ、22周もあるので、賢く走れば抜きどころもたくさんあるコースなので、多少は抜けると思うし、とにかく頑張ります。」

岩崎祐貴選手

「今回はフリー走行もなく、ぶっつけ予選だったんですが、僕の時もまだちょっとクルマのバランスがとれていませんでした。スシュコ選手の時より少しでもストレートスピードを稼ごうと、ウィングを寝かせていったんですが、それとは全然別のところでリヤがすごく跳ねてしまって。セクター3でアクセルが踏めなくなってしまったのが、タイムを稼げなかった原因のひとつのように思います。この後に第1レースの決勝が行われますが、スシュコ選手には頑張ってもらって、それに僕も続きたいですね!」

金曽裕人監督

「今年ずっと課題であった予選については大きな改善はできず、目標のシングルポジションは得られず。アタックタイミング、マシンセット含めこの課題は重要である。よって改善出来れば確実に決勝結果に大きく影響するはず。来期はここをTEAMとして本気で取り組む。しかしレースにおいては、両名は強さを持っているので決勝は30号車のオーバーテークショーを応援くださる皆様にお見せしますので、ご期待ください。」

第1レース決勝(22周)14:05〜

通常のレースならば、スタート進行の開始と同時に8分間のウォームアップが行われるが、今回はピット前を通過するチェック走行のみで、慌ただしく「IWASAKI OGT Racing GT-R」はスターティンググリッドに並べられることとなった。スシュコ選手にとって久々のスタンディングスタートながらクラッチミートも完璧に、さらにGT-Rのターボエンジンが唸りを上げて、1コーナーまでにまさにごぼう抜きを果たす。ところが、その1コーナーに進入した途端、追突を食らってしまったのだ。

ピットで見守っていたスタッフの、何とかダメージなく……という思いは届かず、右リヤのホイールと足まわりにはダメージが。やむなくピットに戻ることとなったスシュコ選手。しかし、諦めることなくタイヤを交換、応急処置で「IWASAKI OGT Racing GT-R」をコースに戻すも、そのときすでにトップとは3周の差が。アライメントもずれた状態ながら、40秒後半から41秒前半でタイムをまとめて走行し続けたものの、順位を上げるにはもう他力本願でしかなかった。完走は果たしたものの、20位という不満の残る結果だけが残された。

イゴール・スシュコ選手

「いつものレースとは違うスタンディグスタートだったんですが、すごく完璧に決まって、何台抜いたか分からないけど、たぶん10番手ぐらいまで上がれたと思うんですよ。それで、1コーナーに入ったら、いきなり後ろから同じクルマに2回もぶつけられてしまいました。その原因でホイールが壊れてピットインして、タイヤ交換して走って完走はしましたけど、きっとそのアクシデントが無ければ、すごくいいところまで行けたんじゃないかな。すごく残念。あれだけ完璧に決まったスタートの車載映像を見て、自分を慰めることとします(苦笑)」

第2レース決勝(22周)11月24日 14:05〜

日曜日にもフリー走行はなく、早朝にオールグリッドウォークが行われ、チェックができたのはその前後のパレードのみだった。しかし、第1レースで手負いの状態だったとはいえ、スシュコ選手が好走を見せていたこともあり、第2レースに挑む岩崎選手には、内心密かに期するものがあったはずだ。スタート進行の開始から間もなく「IWASAKI OGT Racing GT-R」をグリッドに並べた岩崎選手は、程よい緊張感を保ってシグナルのブラックアウトを待つ。

クラッチミートのタイミングは完璧とは言えなかったものの、1コーナーまでにぐんぐん加速していき、2コーナーではオーバーテークにも成功。その結果、オープニングラップを2ポジションアップとなる11番手で終了する。その後も岩崎選手の勢いは止まらず、4周目には1台をパス、そして5周目にはトップのペナルティによる後退で9番手に浮上。なおも前を追いかけ続けて7番手も視野に入ってきたのだが……。実は予選でも抱えていたリヤの跳ねがおさまっておらず、その症状は周回を重ねるごと悪化していく。後方からのプレッシャーに耐えつつ、必死にシングルフィニッシュ目指して走り続けていた岩崎選手。だが、我慢はもう終盤に差し掛かると許されなくなっていた。15周目、16周目に相次いでパスを許し、あとは意地だけの走行に。その結果、「IWASAKI OGT Racing GT-R」は11位でゴール。

岩崎祐貴選手

「今までJAF Grand Prixを過去2回経験しているんですが、ホイールスピンさせ過ぎてしまって、今まででいちばん悪いスタートでした。その後、何とか順位を挽回できたのは良かったんですが、やっぱりセクター3でリヤが跳ねる症状は改善できていなくて、後半になればなるほどコースに留まるのも大変なぐらい厳しかったですね。でも、セクター2に関しては、バトルしているクルマの中ではいちばん良かったので、その辺は満足しているんですけど……。とにかくセクター3でのタイムドロップが大きくて、あんまりクリーンなレースができなかったことも残念です。とはいえ、全力を尽くし切った感じはあるので、スタート以外は後悔のないレースにもなりました。本当は表彰台に立ちたかったんですが、ちょっとそれは厳しかったですね。でも、何とか無事に完走できて良かった。1年間どうもありがとうございました」

金曽裕人監督

「すべては予選ポジションの悪さが決勝でのアクシデントを呼び込む結果となった。予選アタック時の「ここ一発、今でしょ!!」という絶妙なタイミングを逃さないように来期は大きく改善いたします。それ以外にマシン、ドライバー、チーム含め問題は無いに等しいので課題は明確であります。来シーズンは、この課題を確実に改善し、新生30号車を目指し、皆様と共に戦いたいと思います。一年間、熱いご声援ありがとうございました。これからも変わらぬ応援のほど宜しくお願いいたします。」