2014 AUTOBACS SUPER GT ROUND1

開催地:岡山国際サーキット(岡山県)/3.703km

45日(予選)天候:晴れのち曇り

コースコンディション:ドライ 観客数:9,000

46日(決勝)天候:晴れ一時雨

コースコンディション:ドライ一時ウェット 観客数:18,000

 

2回目のPPをプリウスで獲得。決勝でもトップ争いを繰り広げたものの、

無念のリタイア

 

2014年のスーパーGTが、いよいよスタートを切る。今年もシリーズは全8戦での開催が予定され、海外でのレースはマレーシアに変わってタイで初めて行われることとなっている。さて、開幕戦の舞台である岡山国際サーキットは4kmに満たない、中低速コーナーの多いコンパクトなレイアウトで知られ、オーバーテイクポイントは多いとは言えないテクニカルコースだ。それだけに予選で上位につけることと、決勝レースでの戦略が重視される。

今年もプリウスには新田守男選手と嵯峨宏紀選手というラインナップでの参戦となるが、悲願の王座獲得に向け、マシンはオフの間に大幅な手直しを行い、テストを入念に繰り返してきた。最大の改良ポイントは、車体の軽量化。市販車の先行開発を兼ねた新たなハイブリッドシステムの採用、シャシーからも徹底的に贅を削ぎ落とし、約100kgもの軽量化を実施。また、足まわり・エンジンのMAPも見直し、そしてスワンウィングの採用によって、運動特性は大幅に向上。トラブルなくテストも進んだ、「OGT Panasonic PRIUS」の活躍が期待された。

公式練習 45日(土)9:00

『晴れの国』を称する岡山ながら、このレースウィークに対する天気予報は不安定であることを告げており、走り始めとなる公式練習もまた、スタート時は晴れだったものの、途中から曇りに変わっていた。途中の雨も覚悟しつつ、走行を開始。最初に「OGT Panasonic PRIUS」のシートに収まったのは新田選手で、じっくりと慎重に周回を重ねていく。序盤は予選想定のセットで走り、9周目には1分27893をマーク。そこからは決勝想定のセットアップが進められていく。

ラスト10分間のGT300単独のセッションから、嵯峨選手がコクピットへ。わずか4周の走行だったものの、新田選手が詰めたセットを確認し、29秒台でコンスタントに周回を重ねていった。ちなみに新田選手がマークしたタイムは2番手タイムに相当し、予選、決勝ともに確かな手応えを得ることとなる。

公式予選 Q1 14:0014:15

強い日差しが路面を照らしこそするが、冷たい風が吹いて、予選開始時の路面温度は24度ながら、気温はわずか9度。エンジンも軽妙に回る。この時期としてはまずまずのコンディションである。アウトラップにもう1周をタイヤのウォームアップに充てた「OGT Panasonic PRIUS」を駆る嵯峨選手は、2周目には1分29秒台、3周目には28秒台と着実にタイムを詰めていき、その後2周に渡って27秒台後半のタイムを記録する。だが、公式練習で新田選手が出したタイムをわずかに上回っただけで、すでにライバルは27秒台の前半に達している。

どうやらセットをより詰めていったのが、悪影響を及ぼしていたようだ。やむなく、いったんクールダウンを行った嵯峨選手は、計測終了間際に27796をマークするが、同じ頃トップは26秒台に突入。しかしながら、トップから約1秒の差をつけられてしまったとはいえ、12番手につけてQ2進出に成功。チームは嵯峨選手のインフォメーションにより、走行後セットを改めることとなった。

公式予選 Q2 14:4014:52

25分間のインターバルの後、Q2がスタート。「OGT Panasonic PRIUS」を真っ先にコースへと進めたのは、もちろん新田選手だ。しっかりとクリアラップも取れる状態の中、2周目からアタックを開始した新田選手はいきなり127369をマークしてトップに。すぐに逆転を許したが、4周目には26774を叩き出して再度トップに浮上。残り3分を切ったところで早々とピットに戻り、ライバルの動向を見守るが、誰にも逆転を許さず、開幕戦でポールポジションを獲得!プリウスとしては2012年の第6戦・富士以来となる2回目の快挙となった。

惜しくもレコードタイムには及ばなかったものの、これは気温こそQ1と同じ9度だったものの、サーキット上空をにわかに灰色の雲が覆って、路面温度を17度にまで下げていたためだ。とはいえ、タイヤ選択が的確だったことと、その対応幅の広さによる恩恵だったのは間違いなく、また嵯峨選手からのフィードバックが的確だったことも、この好結果で証明されることとなった。

新田守男選手

「宏紀が乗った時、少しセットが良くなかったんですが、アジャストしていったらいい方向に行ってくれました。まさかこんなタイムが出るなんて思っていなくて、他のクルマがすごく速かったから、あんまり自信はなかったですね(苦笑)。でも、コース外に飛んじゃう覚悟で、目をつぶって行ったんです。今回はいちばん前からのスタートですが、何もないことを祈るのと、雨が降らないこと! 雨が降ると、このスピードを持っているGT3勢にはABSとかトラクションコントロールの電子デバイスがあるので、何やっても敵わないと思いますから。」

嵯峨宏紀選手

「予選に向けてジオメトリーを変えたり、いろいろやったりしたんですが、ちょっと合わせ切れなくて。僕のセッションでは裏目に出てしまいました。それを変更してセットがいい方にいってくれたおかげで、結果的にポールが獲れて良かったですが、僕も少し乗れていないのかな。それでもQ1は通る確信はあって、その雰囲気の中でクルマの動きを確認しながら走っていました。いい意味で予定外でした。決勝は天気次第ですけど、それより岡山では2年連続でリタイアなので、まず走り切るというのを絶対やらなければいけない。何でもいいですから、完走しなくてはいけないですよね。」

金曽裕人監督

「FIA-GT3勢が今年も蓋を開けると一発もコンスタントもタイムが非常に良く、ポールポジションも愚か、この一番タイムは全く予想していませんでした。その中で嵯峨選手の的確なコメントと、新田選手の快心のアタックは見ている我々も感動しました。オフシーズンにたくさんの皆様に応援頂き、マシンの仕上がり具合も良く、ミスやトラブルが無ければ良い結果がついて来そうです。」

決勝日・フリー走行 46日(日)9:009:30

日曜日の早朝9時から行われるのフリー走行は、開始直前に雨が降り出し、ウェットコンディションとなっていた。ただし、その雨もすぐに止み、日差しも出るという厄介な状況に。「OGT Panasonic PRIUS」には、このレースウィークで初めてウェットタイヤが装着される。まずは新田選手が乗り込み、5周の走行で140772を記録する。その後ピットに戻って、嵯峨選手に交代。2周走ったところでチェッカーが。続けて行われたサーキットサファリで嵯峨選手は周回を重ね、前述のとおり天候の回復で路面状態が徐々に向上していったことから、ドライタイヤで30809を記録するまでに。

ラストの2周は新田選手が再びマシンに乗り込んで最終チェック。ここまで一切トラブルに見舞われることなく順調にスケジュールをこなし、決勝に向けて確かな手応えを掴んでいた。

決勝レース(82周)14:00

開幕戦のスタート担当は新田選手。スタート進行と同時に開始される8分間のウォームアップを1周のみ走行して最終チェックを行い、「OGT Panasonic PRIUS」はスターティンググリッドに送り出されることになった。

今年からGT500がシャシー、エンジンとも変更され、また温まりにくいカーボンブレーキを装着していることもあり、フォーメーションラップが2周行われることとなっていた。しかし、気温8度、路面温度20度という低さゆえ、もう1周追加されることに。

1コーナーへのホールショットは許されず、予選2番手だった「グッドスマイル初音ミクZ4」の片岡龍也選手にトップを譲るも、その後は遅れを取ることなく続き、背後にFIA-GT32台を連ねてトップ争いを繰り広げていく新田選手。

しばらくの間、緊張感は漂わせつつ、こう着状態が続いたものの、18周目から雨が唐突に、しかも横殴りで降って来たからたまらない。ABSなど電子制御デバイスを備えるFIA -GT3勢に敵うはずもなく、新田選手は相次いで先行を許し、22周目には4番手に。それでも雨はすぐに止んで、ここから逆襲開始と思われたものの、その直後に思いがけぬ光景が。

ダブルヘアピンで「OGT Panasonic PRIUS」がストップ。突然のトラブルで、エンジンがストップ。再始動はできたものの、マシンを動かすことは許されず、無念のリタイアを喫することに。なんと岡山では3年連続で涙を飲むこととなった。

しかし、落ち込んでばかりはいられない。第2戦の舞台、富士スピードウェイは昨年も優勝を飾った相性抜群のコース。スピードとポテンシャルの向上は確認できただけに、534日のレースでは、完全無欠の展開、そして勝利を目指す。

新田守男選手

「ポールポジションからのスタートだったんですが、かなり路面温度が低かったんで、FIA-GT3勢の方がブレーキの良さなどで序盤は若干置いていかれるのは想定していたんですが、それでも1コーナーでトップを譲りはしたけど、ずっと着いていくことができて。狙っていたセットの方向も良かったから、雨が降ってくるまでは、いいレース展開だったと思います。その後、トラブルでピットに戻ってくることができず、残念な結果になりました。でも予選を含めて、レースペースもパフォーマンスのいい状態が維持できていたんで残念ですが、その一方で今後のレースに期待を持つこともできました。タイヤも良かったし、トラブルが生じたこと以外はすべて、いい状態にあったことは確認できたので、得意の富士では必ず巻き返します!」

嵯峨宏紀選手

「決勝については、またしてもリタイアという形で、応援してくださった方々、特に今回はポールだったので、期待も大きかったと思うんですが、ちょっと残念な結果になってしまって。自分としても辛いというか、申し訳なく思っています。ただ、今回すごく良かった部分として、開幕戦でみんなが同じ条件の中、戦えるパフォーマンスがあることが確認できたことです。次の富士以降に期待していてほしいと思います。」

金曽裕人監督

「決勝の展開も狙い通りで 皆様の期待にお答え出来ると確信していました。しかし無情にも3年連続で開幕戦をリタイアという辛い結果となりました。オフシーズン休みも無く、ご協力下さった皆様、スポンサーの皆様に対しては申し訳ない気持ちでいっぱいです。早期にトラブルの要因を把握し、チームはマシンに対策を施して初優勝した富士スピードウェイにてリベンジを果たしたいと思います。」