2014 AUTOBACS SUPER GT ROUND5 富士スピードウェイ

 

開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km

89日 (予選)天候:曇り

コースコンディション:ドライ 観客数:18,500

810日(決勝)天候:雨

コースコンディション:ウェット 観客数:26,500人

 

後半戦の幕開けは今年2度目の開催となる富士スピードウェイ(静岡県)。第2戦と異なり300㎞で行われた。8月の中旬の開催とあって猛暑が予想されたが、生憎台風11号の接近により、レースウィークの天候は全く読めない状況で迎えることになり、今回のレースも第4戦のSUGO同様、天候に翻弄されるレースになることは間違いなかった。

89日(土)練習走行 9:009:40 

厚い雲に覆われながらも幸いドライの状態でスタートしたフリー走行。まずは影山選手がマシンに乗り込み、持ち込みのマシンに状態を確認した。10周の間にin-outを繰り返し、マシンのバランス調整を行った後、岩崎選手に交代し感触を確かめた。岩崎選手は4周を走行し、マシンの状態を確認。再び影山選手に代わると、より硬いタイヤに履き替え前半に装着したタイヤとの比較を行った。

GT-R  GT3の特性なのかエントリーしている6台のセクター3のタイムが他のマシンよりもタイムの伸びが悪く、この部分に関しては、予選に大きく影響してくることが予想された。影山選手は赤旗を挟みながら16周を走行し、タイヤとマシンバランスの調整をおこなった。GT300の占有時間を控え、岩崎選手に交代し計測6周で確認を行い、雨に降られることもなくセッションを終了した。

89日(土)Q1  14:0014:15

Q1開始時間を迎え、空模様が怪しくなってきたため、14:00のセッション開始と同時に影山選手がコースイン。計測3周目に1‘39.448を出し暫定5番手になるが、他車も続々とアタックをしており、徐々にポジションが下がっていった。Q2進出のボーダーラインは13番手。影山選手はアタックを続けるも、タイムを更新することができず13番手に留まっていた。後はチェッカーフラッグを通過するマシンを待つだけの状態に。幸い、後半でタイムアップをしてくるマシンがなかったため、ギリギリの13番手でQ2進出を決めた。

89日(土)Q2 14:4915:01

GT500Q1を挟んでも天候はどうにか持ちこたえ、岩崎選手が決勝グリッドを決めるQ2に臨む。降雨におびえながら定刻を迎え、早々に岩崎選手もコースイン。計測3周目に1‘39.136で暫定トップのタイムを叩き出すと、岩崎選手は続けてアタックに挑んだ。しかし、ベストタイムを更新することはできず、ポールポジションを獲得したミシュランタイヤを履く#61 BRZから0.880秒離され6番グリッドを獲得した。

8月10日(日)フリー走行 9:009:30

台風の接近の影響を更に受け、朝から予報通り雨は強くなったり、弱まったりを繰り返していた。9時から始まったフリー走行では、決勝レースに向けて影山選手がマシンに乗り込み、金曽監督の指示で周りのチームの様子を伺いながらコースインを待機していた。開始から3分で雨量が増えたことが理由で赤旗が出された。9:09には小康状態なり、セッションは再開されたが、路面上は所々で川ができているため、リスキーな状態での走行となった。

その中、影山選手は慎重に走行をし、ウエットタイヤでのマシンの状態をチェック。途中、マシンのバランス調整を行い、6周目にドライバー交代の練習をしつつ、岩崎選手へと交代した。岩崎選手も残り僅かな時間で路面の状態とマシンの状態を確認し、フリー走行を終えた。通常ならば10分のインターバルをおいて開始されるサーキットサファリを有効利用して更にマシンのチェックを行っていくのだが、このタイミングでも雨量が増えたことにより、安全を優先し僅かな周回で走行を終えた。

810日(日)決勝 15:00GT50066Laps

通常、決勝前に8分間のフリー走行が行われるが、今回のレースでは午前のフリー走行で十分に走行ができなかったことを考慮し、20分間の走行時間が設けられた。しかし、この僅かな時間の中でも、激しい降雨のため赤旗が出されるほど。決勝レースが行えるかすら、危ぶまれるような天候の中、オンタイムでマシンは動き出した。1周のフォーメーションラップのあと、1周のセーフティーカーランがあり、レースはスタートした。

6番手からスタートを切ったのは影山選手。序盤、タイヤが温まらず、ペースを上げることができずに、ポジションダウンしていく。順位を9番手まで落としてしまった7周目にまたもや激しく雨が降ってきたことにより、セーフティーカーが導入された。途中28分間の中断を含め、11周のセーフティーカーランとなり、19周目にようやくリスタートが切られた。

リスタートから数周後、影山選手からの無線で「リアのタイヤが厳しくなってきたので、早めにピットに入れた方が良いのでは…」という言葉が送られてきた。その言葉を象徴するかのように、#30 IWASAKI apr GT-Rは徐々に順位を落とし、9番手から12番手までポジションダウンしてしまった。影山選手のコメントを受け、チームは岩崎選手に交代する準備を整え、26周にピットイン。スタートとは違う種類のタイヤに履き替え、順調なピットワークで岩崎選手をコースへと送り出した。

岩崎選手は、着実にポジションを上げて行き、10番手まで順位を上げていたが、ここで痛恨のミッショントラブルが発生。それにより、まともな走行ができずポジションを落とさざるを得なくなったため、後続車に交わされてしまう。13番手になったところで、またもや激しい雨が。そのままセーフティーカーランとなった。岩崎選手はトラブルにより、低速コーナーでもギアが下がらず、慎重にひとつひとつのコーナーをクリアしていくことだけでも精一杯の状態の中、上位陣に何かが起こり一つでもポジションを上げられる可能性を信じて、ハイドロを起こす路面状況と低速ギアに落ちないマシンをセーフティーカーに先導されたままゴールまでマシンを運んだ。

6番手という好ポジションからの決勝レースとなったが、あらゆる不運によりノーポイントでレースを終える結果となった#30 IWASAKI apr GT-R。着実に両ドライバー・チームとのコミュニケーションは深まってきている。あとは、GT-R GT3本来の力を存分に発揮できる状態が揃えば、間違いなく脅威となるチームになることは間違いないであろう。

【岩崎祐選手コメント】

予選ではクルマのバランス的にアンダーステアで、タイヤの温まりが悪かったのですが、雨が降ってくる前にどうにかアタックをしたかったこともあり、完全に温めきれていない状態でアタックに臨みました。ベストラップを記録した次のラップでセクター3を失敗してしまったのが残念です。その後も時間いっぱいまでアタックを続けましたが、雨が降ってきてしまったこともあり、6番手に留まることになりました。決勝では、序盤にインターミディエイトのタイヤを装着してプッシュをしたことで10位まで順位を巻き返すことができましたが、ミッショントラブルが発生し、コース上に留まる事が精一杯でした。2速の所を3速で走っている状態で最後は、セーフティーカーについていくことも大変な状態でした。残念ながらトラブルによりポイントを獲得することができませんでしたが、残りのレースでこれまでのIWASAKI apr GT-Rの記録を更新したいと思います。雨の中、応援して頂きありがとうございました。引き続き、宜しくお願いします。

【影山正美選手コメント】

予選では、Q2進出ギリギリの13番手でQ1をクリアしましたが、まだGT-R GT3の良い所を引き出しきれていないので、残りのレースではその部分を活かしていきたいですね。決勝では、ウエットタイヤのバランスが悪かったうえ、セーフティーカーの導入時間が長かったこともあり、ポジションアップに繋げることができませんでした。後半を引き継いだ岩崎選手はバランスの悪いインターミディエイトタイヤで、更にミッショントラブルを抱えたマシンを試行錯誤し、精一杯頑張ってゴールまで運んでくれました。悪天候の中、サーキットで応援して下さった皆様、各メディアを通じて応援をして下さった皆様にはSUPER GTの熱戦をおみせすることができず、3間弱のレースを応援して頂きありがとうございました。残り3戦も全力で戦っていきますので、今後とも#30 IWASAKI apr GT-Rの応援を宜しくお願い致します。

【金曽裕人監督コメント】

予選に関してはチームとして流れが悪かったわけでもなく、両ドライバーのミスもなく特にこれと言った問題はありませんでしたね。また、決勝レースでは難しいコンディションの中、二人ともコースアウトやスピンをすることもなく、慎重にレースを進めていってくれたことで、ポイント圏内に入れる可能性がありましたが、ミッショントラブルにより順位を落とす結果となってしまったのは残念です。しかし、後半のセーフティーカーに救われて、13位以下にポジションを落とすことなく、マシンにダメージを与えることもなく、チェッカーを受けられたのは不幸中の幸いと言えるかと思います。雨の決勝で言えることは、GT-R全車がウエットタイヤ2種類のパフォーマンスが低く、カスタマーであるチームとしての苦しい立場であるがために非常に厳しいレースになりました。開発車両である#3 GT-Rでさえ10位という結果をみても、ヨコハマタイヤにはより底上げした開発を進めていってもらいたいと思います。