2019 AUTOBACS SUPER GT

Round 6 AUTOPOLIS GT 300km RACE

 

開催地:オートポリス(大分県)/4.674km

9月7日(予選)天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:10,010人

9月8日(決勝)天候:曇り一時雨 コースコンディション:ドライ&ウェット 観客数:17,300人

ようやく光が見えてきた! 気まぐれな天候に翻弄されるも14位で完走果たす!

スーパーGTは、いよいよ終盤戦に突入し、シリーズ第6戦が「AUTOPOLIS GT 300km RACE」としてオートポリスで開催された。今年もaprは引き続き2台体制で挑むが、マシンをTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV(ZVW52)にスイッチ。駆動方式をミッドシップからFRに改め、さらにハイブリッドシステムはそのままに、5.4ℓのV8エンジン、2UR-Gを新たに搭載する、「#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」を嵯峨宏紀選手と中山友貴選手を託している。

前回の富士では予選26番手から決勝で着実に追い上げていたが、何よりセーフティカー(SC)に行手を阻まれ、暫定トップの車両とは周回遅れとなってしまったのは最大の誤算だった。どうにも今年はSCとの相性が悪く、すでに3戦連続である……。それでも諦めずに走り続けた結果、18位での完走を果たすことができた。また、進化するための方向性も確実に見えたこともあり、リザルト以上に実りある一戦だったとも言える。

 今回の舞台、オートポリスはアップダウンに富むテクニカルコースとして知られ、ウエイト感度は非常に高いと言われている。そこにきてシリーズは6戦目と、獲得したポイントの2倍ウエイトを積む最後のレースとあって、ランキング上位陣は特に苦戦を強いられること必至。幸か不幸か、ノーハンデで挑めるメリットは決して小さくはないはずだ。

公式練習 9月7日(土)8:50〜10:25

ふたつの台風接近の影響が大いに心配されたレースウィークではあったが、九州地方を東西に逸れることとなり、直接の影響は受けずに済んだ。とはいえ、オートポリスは山の上のサーキットとあって、天候が目まぐるしく変化する。そのことを承知の上で、走行を開始することとなった。

公式練習スタート時の気温は24度、路面温度は26度で9月なりのコンディションといったところか。上空には白い雲が浮かんでいるが、当面は雨の心配はなさそうだ。

今回は再び嵯峨選手からの走行開始となった。さて、今回からリストリクター径が改められ、「#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は34.50φ×2から30.56φ×2となった。直径は、かなり小さくなっているものの、JAF規則のリストリクターを装着の事から形状に自由度があり効率向上に期待が高まる。

序盤のうちに速さの確認を行い、まずは1分47秒050をマークした嵯峨選手。その後は決勝に向けたセットアップとタイヤチョイスが行われた。今回はピットに戻るたびビッグチェンジと称する、大がかりなセット変更を繰り返していたこともあり、多くの周回を重ねることができなかった。実際、公式練習では嵯峨選手だけの走行ともなっていたほど。

続くサーキットサファリから中山選手が走り始め、バスとの混走状態では1分50秒242を記すに留まったものの、ビッグチェンジによってドライバーもチームも今までにない好感触を得ることとなった。

公式予選Q1 9月7日(土)14:30〜14:45

今回も嵯峨選手がQ1を担当。上空には雲も広がっていることもあったが気温は26度、路面温度は35度と、「もう9月」といった印象を十分に感じさせた。程よいコンディションではあったが、是が非でもQ1突破のために選んだブリヂストンタイヤはソフト。その特性を最大に引き出すため、今回もまた入念にウォームアップを行ない嵯峨選手はアタックを開始する。

計測3周目からのアタックで1分46秒502を記録した嵯峨選手は、その後の1周をクールダウンに充てるも、再度のアタックではもうソフトタイヤのピークを超えていることが明らかに。そのため、チャッカーを待たずにピットに戻ることとなった。

結果は21番手で、Q1突破は果たせなかった。とはいえ、ボーダーラインから遅れること、わずかにコンマ4秒はマシンの着実な進化を物語るものであった。その結果、「#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は決勝に11列目から臨むことに。

嵯峨 宏紀選手

いつもよりは良い方向に行ったんですが、今回大幅にいろんなことを変えたことに対し、細かく合わせるのに時間が足りなかったという気がします。今できる、ベストという状態ではあったんですけどね。ただ、「たぶんこういう方向だな」というのが見えてきたので、結果以上に得られたものは大きいと思っています。決勝はそれでも厳しいでしょうが…


中山 友貴選手

僕は予選を走れなかったのですが、過去のQ1落ちしてしまった時より、明らかに差は縮まっていた印象はありましたね。いろんなトライ&エラーを繰り返す中で、結果は良くなかったですけど、得られたものは多くて、また次に試せることにつながっていきましたから、そういう意味ではプラスにとらえています。明日は天候が不安定と予報で出ているので、どちらにしても前戦以上に決勝で挽回できるよう、今は考えてもらっている最中です。


金曽 裕人監督

ビッグチェンジとは、クルマのセットアップ。大きく変えてきたことで、良い方向は見えてきたけど、まだ詰めきれませんでした。リストリクターも、今回から待望のJAFリストリクターになって入口はかなり小さくなったけど、形状が改まったことで期待したのですが、あまりにもリストリクターが小さ過ぎて・・・・予選をミスなく行ってくれたんだけど、パッとしなかったというのが現状です。新車ということで時間があまりにも無い中、妥協せず先に進んで行こうと思っているので、もう少し時間をいただけたら……と思っています。

決勝レース(65周) 9月8日(日)13:40〜

スタート進行の開始とともに行われる、20分間のウォームアップには一陣の光が差し込んでいた。まずは嵯峨選手が「#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」に乗り込んだが、決勝レースを想定した満タン状態であったにも関わらず、1分48秒076をマークしてセッションのトップに立ったからだ。これにはピットからも歓喜の声が上がった。折り返しのところで中山選手とドライバー交代の練習を兼ねてチェンジ。赤旗中断があったため、中山選手のタイムは残されなかったものの、決勝レースに向けた大幅なセット変更が功を奏していたことから、ドライバーふたりはそれまでにない好感触を得ることとなった。

スタート担当の嵯峨選手は、決勝レースが始まるとすぐにポジションをひとつ上げる。そのまま勢いに乗りたいところだが、GT500車両にセクター3でクラッシュがあり、早々にSCが導入されることに。SCランの最中にペースを上げられなくなった車両があったことから、もう1ポジション上げる。また5周目からのリスタート後にもペナルティを課せられた車両があったことから、8周目には労せずして18番手に浮上することとなった。

しばらくはそのままの順位で周回を重ねていたが、15周目を過ぎたあたりから雨が、それも1コーナー付近だけで降り始める。早々にピットに入る車両が現るたび順位を上げ、また自力でも順位を上げていた嵯峨選手。が、10周もしないうちに雨はやんでしまう。そのまま天候が落ち着いてくれることを期待したが、30周目を過ぎてまた雨が、今度は全域で降り始めた。足を取られてスピンした車両がコース上に横たわったため、チームはドライバー交代を決断。32周目に「#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」が入ってきた直後に、2度目のSCランが行われたため、まさに絶好のタイミングともなっていたが、4戦連続、またしてもTOPの車両の後方となり周回遅れの20番手に大幅ドロップ。

その直前、いったんは順位を落とすこととなるが、数回遅れからのリスタートから3周後に3回目のSCランが。今度は、TOP車両がすぐ後ろに位置付けSCで大幅に損した分を取り返すべく同一集会の15番手に。47周目にバトルが再開されると、柔らかめのウェットタイヤを装着していた中山選手はセクター3でGT500車両をも抜くほどの勢いを見せ、12番手へとポジションアップ。49周目には9番手にまで躍り出る。このまま上位まで届くと誰もが信じていた。

だが、無情にも雨は止み予想以上に路面はどんどん乾き始めたのは誤算だった。上位のペナルティもあって、いったんは8番手まで上がるも、それ以降はドライ路面にソフトウエットタイヤではペースを上げられず。残念ながら、ラスト4周で次々と抜かれてしまい、最終的には14位でのゴールとなった。もう少し長く雨が降り続いていてくれれば……と思う一方で、そう思えるだけのレースだったのは紛れもない事実。ラスト2戦の大躍進に期待せずにはいられない。

嵯峨 宏紀選手

ウォームアップの昨日から悩んでいたことに対し、「ここかも」という部分を変えたのが正解だったようで、良い感じで走れるようになりました。それでもGT3のストレートが速かったので抜くには至らず厳しかったです。雨が強く降るまで引っ張ろうという作戦を採り、ウェットタイヤに換えた判断までは間違っていなかったんですが、最後に思ったより乾いてしまって、万事休すという感じでした。運も足りませんでしたね。ただ、クルマを進化させていくという部分では、過去にないぐらい手応えを感じてレースができたし、いつもはどんどん離されていく展開だったのが、前さえいなければうちの方が速いかもと思えるマシンを作れたので、2週間後のSUGOでは走り出しから良い状態を作れるように準備したいと思っています。


中山 友貴選手

非常に読めない天候の中、チームが一生懸命その状況を判断してくれたのですが、結果的に路面が完全に乾いてしまったので、かなりしんどい状況になってしまいました。ただ、チームがやってくれたことや、自分が任された仕事の中では、しっかり役割を果たせたと思うし、全員が力を出しきれたレースなので、そこは今までよりも改善し非常に良かったと思います。ポイントが取れそうで取れなかったのは悔しいですけど、クルマに対して進化を感じる部分がたくさんあって、それは残りの2戦に向けて、予選、レースペースともによくできる方向で手応えも得られたので、少しでも多くポイントを取って終わりたいです!


金曽 裕人監督

今回も結果が出ず、応援下さっている皆様、申し訳ございません。その中でも、オートポリス戦は 今年のベストレースでした。マシンセットも今回が一番芯を食ったような気がします。

やっとウチらしい雰囲気になりました。他車とタイヤコンディションはイコールでは無いのですが、ウォームアップでトップタイムが出たことで、シャシパフォーマンスは一気にランクアップしたと思っています。

賛否ございますが、第2スティントのタイヤ選択は、結果論と判断しております。もし、あのまま雨量が増えれば、ブリヂストンのソフト ウェットタイヤを履いていたので、その驚異的な性能から、きっと我々のひとり勝ちだったでしょう。天候にはだいぶ翻弄されてしまいました。まだまだ課題は沢山ありますが、内容は濃かったです。リスタート後に500のクルマを抜けるほど、クルマのバランスが取れたので、「残りの2戦で勝負!」。ご期待ください。