2019 AUTOBACS SUPER GT

Round 7 SUGO GT 300km RACE

 

開催地:スポーツランドSUGO(宮城県)/3.704km

9月21日(予選)天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:12,000人

9月22日(決勝)天候:雨 コースコンディション:ウェット 観客数:25,100人

予選はついにQ2進出! 決勝は攻めのタイヤ選択が裏目に。無念の25位に終わる。

絶えず激戦が繰り広げられるスーパーGTシリーズも、いよいよ残すは2戦となり、シリーズ第7戦がスポーツランドSUGOで「SUGO GT 300km RACE」として開催された。今年もaprは引き続き2台体制で挑むが、マシンをTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV(ZVW52)にスイッチ。規定の変更と合わせ、駆動方式をミッドシップからFRに改め、さらに5.4ℓのV8エンジン、2UR-Gを新たに搭載することとなった。

「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」をドライブするのは、引き続き永井宏明選手と織戸学選手。タイヤもヨコハマが継続して使用される。

  前回のオートポリスでは予選こそ26番手だったものの、不安定な天候に乗じて決勝では徐々に順位を上げることが期待されるも、駆動系トラブルに見舞われて無念のリタイアを喫している。

 今回の舞台であるSUGOもまた、オートポリス同様、アップダウンの激しいテクニカルコースだ。前回から仕様が改められたエンジンは、高地に位置するコースではそれほど威力を発揮できなかったが、山の上とはいえ高度が半分以下のSUGOであれば、ピックアップや低速トルクの向上によってメリットを産むことが期待される。また、今回はウエイトハンデ半減のレースではあるが、それでも重さが影響を及ぼしやすいコースでもあるだけに、ノーハンデのメリットを大いに活かしてくれそうだ。

公式練習 9月21日(土)9:00〜10:35

このレースウィークも直前になって台風が発生。幸いにして直接の影響が及ぶことはなさそうだが全体的に天気はぐずつき具合で、実際に直前の天気予報では悪天候となるとされていた。

だが、土曜日に関しては、なんとかドライコンディションが終始保たれた。

 今回も最初に織戸選手が「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」に乗り込み、まずはチェック走行が行われた。その後、気温は16度、路面温度は21度と安定の状態だったこともあり、本格的な走行が開始され、織戸選手は徐々にラップタイムを上げていく。間もなく30分を経過しようというところで、1分19秒226をマークして、その時点での8番手に。スピードの確認が出来たことから

その後ピットに戻って決勝レースに向けたセットアップ、タイヤ選定が行われていくこととなる。

 今回、それほど長い時間ピットに留まることがなかったのは、持ち込みセットの方向性が正しかったことを意味している。ここまでの6戦でトライ&エラーを重ねながらも積み重ねてきたデータが

ようやく生かされるようになってきたようだ。

 1時間15分ほど経過したところで、いよいよ永井選手の番に。セッション終了まで挟んだピットは一度だけ。ここでしっかりマイレージを稼いでもらおうという配慮による。徐々にタイムを刻んでいった永井選手は、最後10分間のGT300専有セッションでは1分22秒913をマークするまでに。決勝レースでのコンスタントラップに期待が持てそうだ。

公式予選Q1 9月21日(土)14:00〜14:10

引き続きドライコンディションが保たれた予選、そのQ1は開幕戦・岡山以来となる2グループに分けての計測となり、「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」はAグループでの走行となった。今回もQ1担当は織戸選手。気温は19度、路面温度は31度にまで上昇したものの、何か影響を及ぼすようなコンディションとはなっていなかった。

 SUGOは1周の短いコースということ、さらにレイアウト上、左右のタイヤを同時に温めにくい。そこでウォームアップは入念に行われ、アタックは計測4周目から開始されることとなった。まずは1分20秒085をマークした織戸選手は、十分な手応えを得られたこともあって、さらにコースを激しく攻め立てていく。その結果、記されたタイムは1分19秒159。ボーダーライン上スレスレではあったものの、グループ8番手でQ1突破に成功し、ついに永井選手にバトンをつなぐことに成功した。

公式予選Q1 9月21日(土)14:00〜14:10

今年初めてQ2を担当する永井選手とあって、織戸選手のインフォメーションをしっかり受けた上での走行となった。ウォームアップはしっかりと行われ、Q1同様計測4周目からのアタックに。まずは1分21秒433を記し、このレースウィークの自己ベストを更新すると、次の周には1分20秒904でタイムアップ。さらに縮めていきたいところだが、すでにタイヤはピークを超えていた。

 一時は15番手につけていたものの、終了間際にタイムアップした車両もあったことから、18番手となったとはいえ、「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」にとって、今季ベストリザルトを収めることに成功した。

永井 宏明選手

久しぶりのQ1突破がまずは嬉しく思います。応援下さる皆様、関係者の皆様に感謝しております。車は、まだまだセットアップが詰め切れておらず、攻めるほど難しい挙動があり、想定するタイムを出せませんでした。そうは言いながら やっと方向性が見えてきており流れも良いので、もう少しセッティングをアジャストして明日に挑みたいと思います。

決勝は確実に走れば、結果は伴うと思います。心配なのは天候だけです。


織戸 学選手

もう今年も残すところ2戦。あっという間で、新車のPRIUS PHVのシェイクダウンからワクワクと苦労の連続で今に至っている事を思い出します。その苦労が実り、今回チーム2台ともにQ1突破は、本当にうれしいです。応援下さっている皆様、チームの皆さんに感謝です。

明日は雨模様ですが、とにかく前へ前へ攻めて行きますので 応援よろしくお願いいたします。


金曽 裕人監督

ようやくQ2進出を果たしてくれました。前回から投入の規定エンジンが、いよいよ本領を発揮してくれて、シャシーのセットアップも順調に進んでいます。

ただ、本当のもっともっと先に行きたい部分に関しては、まだ時間不足ということで完全には詰めきれていないのですが、その分を2人のドライバーが補ってくれました。決勝レースでも、何事もなくしっかり走れれば、ポイント圏内には確実に行ける気がします。

雨が降りそうですが、恵みの雨にもなる可能性がありますので、ご期待ください。

決勝レース(91周) 9月22日(日)14:00〜

日曜日の走行開始となるウォームアップには今回も永井選手から「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は走り始め、1分22秒457、1分22秒464と好タイムを連発したところで、ピットに戻って織戸選手と交代。計測2周のうち最後に1分25秒319を記録した。と、ここまではドライコンディションが保たれていたものの、直後から霧雨が舞うように。やがて小雨に変化し、徐々に路面の色を変えていく。

 このまま小康状態であったり、すぐにやんだりしてしまえばドライタイヤのまま、逆に強く降るようになればウエットタイヤに交換すべきだが、スタートを担当する織戸選手のチョイスはドライタイヤ。ポールポジションマシンと同様の判断であった。やがてレースはセーフティーカースタートでの開始となることが発表され、先導のうちにやんでくれればという期待もありながら……。

 しかし、実際にはセーフティーカーが動き出すと、にわかに雨は強くなり、ドライタイヤでは厳しい状況になっていく。いよいよバトル開始となっても、ストレートで十分加速できないばかりか

コーナーでは織戸選手をもってしても、コースに留まるのがやっとという状況に。

1周戻ってきた時は24番手に、それでも回復を信じてそのまま走り続けるも、堪えきれずに8周目にピットイン。大きく順位を落とす羽目に。

それでも織戸選手は21番手にまで戻すが、トップからの遅れは順位以上に大きかった。34周目に「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」はピットに戻って、永井選手と交代するが、その直後にGT500車両のコースアウトがあって、セーフティーカーが再びコースイン。

セーフティーカーのポジションは無情にも最悪であり、ロスを最小限にする機会を逃してしまったばかりか、トップとの差はより広がってしまう。

その後も諦めずに単独で走る永井選手は安定したラップタイムを刻むも、先ほどのセーフティーカーポジションからラップダウンになっていたこともあって、青旗が振られるたびに譲らねばならず、そのことがより遅れを広げてしまう。それでも大きなミスもなく、コース上にしっかり踏み留まってトップから4周遅れではあったが、25位でチェッカーを受けることに成功する。

 今年残す戦いは、もうツインリンクもてぎでの最終戦のみ。しかし、ここ2戦のレース内容の向上に、チームの意識は確実に上昇している。最後は気持ちよくシーズンを終えたい。きっとできる、と。来年にもつながる最後の戦いでの大躍進に、ご期待いただきたい。

永井 宏明選手

攻めた結果であり、色々と残念でしたが皆で決めたことなので受け止めています。自分のスティントは思いのほか雨脚も強くなり、なかなかウエットタイヤのタイヤ内圧が上がらず、相当苦労しました。特に最終コーナーはコースにとどまるのが精一杯な状況でした。

今まで、エンジンとシャシに相当な開発時間を注いだ結果、ヨコハマタイヤのパフォーマンスを引き出すセットが足りなかったのも事実。走るたびに発見の連続ですが、蓄積されたデータも相当数です。最終戦は、そのデータの集大成で挑み、今季最高のレースをしますので、最後まで変わらぬ応援の程、よろしくお願いいたします。


織戸 学選手

まずは、スリックタイヤの選択をしたことについて申し訳ございません。狙った天候にはならず残念です。僕たちは週末を通して成長あるレースでしたがレースの難しさを実感する週末でもありました。PRIUS PHVは走るたびにポテンシャルは高くなってきており、ヨコハマタイヤも毎戦、リクエストに沿ったパフォーマンスの高いスペックを用意していただいており、どうしても結果に結び付けたかったのが本音です。今回も多くの応援ありがとうございました。

最終戦茂木ラウンドは、すべての皆様に感謝し、もっともっと貪欲に行きたいと思います。


金曽 裕人監督

スタート時点でのタイヤ選択が裏目に出てしまいましたが、あれは博打というより、『そういう選択肢もあり!』という感じでやりました。スタート直前ぐらいの雨だったら、ヨコハマタイヤと織戸選手なら十分対応できたからです。今年はポイントも獲れていないし、中団からのスタートでしたから、そこはもう攻めるしかなく……。ただ、思いのほか雨は強くなってしまいました。そういうトライをしていくしかないような状況に追い込まれてしまったのも確かであり、二者択一に失敗していまいました。その後、ウエットタイヤに替えてからの織戸選手のペースは非常に良かったし、永井選手のペースも悪くなかったのですが、もはや周回遅れになっているから、後ろから来た車両に何度も譲り続ければならなかったので、結果として厳しいものとなりました。

 ただ、予選での結果を見ていただいても分かるとおり、クルマは確実にいい方向に進みつつあります。最終戦にはご期待ください。